2023.01.11
医療の知恵
医療の知恵~CTとMRIは何が違うの?
CTやMRIは体の輪切りの写真(立体的な写真)を撮影して、体の中を調べる検査です。どちらも横になった状態で大きな筒状の機械に入って撮影をします。機械の見た目も似ている検査ですが、皆さんはCTとMRIの違いをご存知でしょうか?
CTは胸部レントゲンのように放射線を使用して撮影します。検査時間は10~15分程度と短く、一度に広い範囲(胸から下腹部まで)が撮影できます。放射線を使うので医療被ばくを伴いますが、被ばくの影響(不利益)よりも十分な医療効果(利益)がある時に検査を施行しており、被ばく量の低減にも努力しています。
MRIは磁力(大きな磁石の力)で撮影します。放射線は使用しないため医療被ばくはありません。CTと比べて一度に広い範囲は撮影できません。検査時間は30分くらいかかり、検査時に大きな音がします。機械の圧迫感はCTより強く、閉所恐怖症の患者さんは検査できない場合もあります。また、金属と磁石の関係性から、手術などで体内に金属(心臓ペースメーカーや脳動脈瘤治療のクリップ)が埋め込まれている患者さんは検査をうけられない場合もあります。
CT、MRIはそれぞれ得意、不得意な臓器や病気があります。
頭部はCT、MRIとも施行されますが、CTは脳の出血や頭蓋骨骨折の描出を得意とし、MRIは脳梗塞や脳腫瘍の描出を得意としています。MRIでは造影剤という注射を追加しなくても、脳血管の様子(脳動脈瘤の有無など)が分かります。その他、肺の病気はCTの方がよく分かり、脊椎や四肢関節などの整形外科疾患、子宮や卵巣などの婦人科疾患はMRIの方が得意です。腹痛でお腹全体を一度に調べる場合はCTが適しています。
どちらの検査が優れているというものではなく、どちらが適しているかは撮影部位や症状によって変わってきます。これを踏まえ、みなさんの主治医は最も適切と思われる検査を選択しています。
検査にあたって不安や疑問がございましたら、いつでもご相談ください。
放射線診断科部副部長 八島 隆