医療の知恵～「ICUダイアリー」の取り組み

集中治療室（Intensive Care Unit　以下ICU）をみなさんご存知でしょうか？病院の中でも最重症の患者さんが入院する場所です。ここでは人工呼吸器や透析の機械などの生命維持装置やモニターを使用して、重症患者さんの治療を行なっています。

当院のICUには、「集中治療医」という重症患者さんの治療を専門とした医師が常駐しています。「集中治療医」はこれまでなかなか知られる存在ではありませんでしたが、2019年の新型コロナウイルスの大流行でその役割の重要性が広く知られるようになりました。少しずつですが集中治療専門医も増えてきており、患者さんがより早く良くなるように貢献しています。

ICUでの治療を終えて元気になった後に、不安やうつ症状などに悩む患者さんがいらっしゃいます。これをPICS（Post Intensive Care Syndrome）と言います。病気が良くなった後もこのような症状で悩まされることは非常に辛いことです。その予防のために当院では「ICUダイアリー」という取り組みをしています。

ICU看護スタッフを中心に、患者さんの代わりに日記をつけ、回復したのちに患者さんやその家族に手渡してICU滞在中の出来事について説明するというものです。ICUダイアリーは入院中の患者さんとご家族をつなぐツールともなっており、日々心配されているご家族から感謝されています。ICUに入院したという不安はみなさん同じかと思います。その不安を少しでもやわらげられるように、日々病院スタッフ皆で協力していますので安心して治療に臨んでください。

救急集中治療科副部長　木田佳子