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病院公式ブログ

2022.04.13

医療の知恵

~医療の知恵~胆嚢ポリープについて

みなさんはポリープと聞くとどう思われるでしょうか?「良性だから放っておいても良い」と思う方や「癌だから早く手術してもらいたい」と思う方もいるかもしれません。

ポリープとは管腔臓器に発生する隆起性病変の総称です。したがって良性のものも悪性のものも含みます。頻度が高いのは胃や大腸のポリープで、内視鏡検査で発見されます。見た目や大きさから明らかに良性のものは経過観察になりますし、悪性を疑う場合は組織を一部採取して調べます。

胆嚢とは肝臓にくっついている袋状の臓器で、肝臓で作られた消化液(胆汁)を蓄えておく働きがあります。この胆嚢にできたポリープは組織を採取することが困難です。したがって画像検査(エコー検査やCT・MRIなど)で判断するしかありません。

私が過去に経験した症例ですが、エコー検査で11mmの胆嚢ポリープを指摘しました。癌の可能性を考慮して手術を勧めましたが、高齢であった男性は症状がないことから手術を希望されませんでした。1年後に発熱で来院され検査したところ、進行胆嚢癌による胆嚢炎と診断されました。胆嚢内で癌が発育し、胆汁の流れが妨げられたため、胆嚢内で細菌感染が起こった状態でした。腹腔鏡でお腹の中を観察すると、無数の腹膜播種(癌がお腹の中に飛び散った状態)を認め、手術不能でした。他の治療もできず、程なくお亡くなりになりました。

一般的には胆嚢ポリープは大きさが1cmを超えると癌の可能性が高くなると言われています。もし胆嚢ポリープと言われた場合は、きちんと専門医に相談して治療方針を決めて下さい。

上記症例の腹部エコー

第一外科副部長 永田 茂行

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