日本赤十字社 広島赤十字・原爆病院

病院公式ブログ

2019.01.30

医療の知恵

過活動膀胱について

「過活動膀胱」は、症状によって定義される疾患で、尿意切迫感(急に尿意を催し、漏れそうで我慢できない状態)を必須症状として、頻尿、夜間頻尿、切迫性尿失禁を伴う疾患とされています。実際には、40歳以上の男女の8人に1人が過活動膀胱の症状を持っていて、その中の半数が切迫性尿失禁を伴っていると言われています。

原因としては、脳脊椎血管障害、パーキンソン病のような神経疾患が原因の場合、下部尿路閉塞(前立腺肥大症など)が原因の場合、加齢をはじめ明らかな原因の特定ができない場合とされています。なかでも、明らかな原因疾患が見つからない場合が最も多いと言われています。
診断は、検尿、腹部エコー等で同じような症状を生じる疾患を除外できれば、自覚症状の評価が最も重要で、症状を点数化した過活動膀胱症状質問票が、重症度を評価する上でもよく用いられます。

治療は行動療法(生活指導、膀胱訓練、骨盤底筋訓練等)と、薬物療法(抗コリン剤、β3受容体作動薬等)の併用を行うことになります。

泌尿器科は、なかなか敷居が高く受診しづらいかもしれませんが、‘身に覚え’のある方は多いのではないでしょうか。外来には過活動膀胱症状質問票、骨盤底筋訓練のパンフレットなどが置いてありますので、気軽に覗いていただければと思います。

泌尿器科 副部長 猪川栄興

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