2019.09.25
医療の知恵
チーム医療で体力改善作戦
当院小児科では、疾患の性質上6ヶ月~12ヶ月の長期入院の患者さんが多いのが特徴です。長期入院による筋力低下の改善が認められたのでご紹介いたします。
3年前に病棟改修工事が行なわれ、改修前は個室10.6m2のみでしたが、改修後は個室と廊下とプレイルームを合わせて115 m2となり、患者さんの行動範囲が拡大しました。また、リハビリや様々なサポーティブケアをより充実させるよう工夫もはじめました。
ほぼすべての患者さんで、入院直後の強い治療・治療副作用・蛋白摂取不足・運動不足により筋肉量は急激に減少します。以前はこの状態が長く続き、筋肉量がさらに低下し退院後の社会復帰に時間がかりましたが、病棟改修後は、入院2ヶ月頃には筋肉量が増加するようになりました。また、以前は標準筋肉量と比較し約70%に低下していましたが、改装後は約82%の低下にとどまるようになりました。そして退院するころには、少しずつ筋肉量が戻り、早期に社会復帰ができるようになりました。
入院中の食事栄養指導や蛋白摂取を個々の患者さんで努力されたこと、行動範囲が広がったこと、リハビリの介入などにより、患者さんのモチベーションが上がったことが改善につながったと考えられます。
患者さんの筋肉量が改善することを客観的に示すことも重要なのですが、個々のスタッフの献身的な努力、患者さん同士の心温まる励まし、家族の「がんばり」、何よりも患者さんの「がんばり」の結果です。一生懸命な小児科の患者さんのために、これからもより良いチーム医療を目指しますので、よろしくお願いいたします。
小児科 副部長 三木瑞香