2019.12.25
医療の知恵
「出生前診断」
「出生前診断」という言葉を聞かれたことがありますか?
ちょっと堅く言うと、『妊娠中に胎児が何かの疾患に罹患していると思われる場合や、胎児の異常はあきらかでないが、何らかの理由で胎児が疾患を有する可能性が高くなっていると考えられる場合に、その正確な病態を知る目的で検査を行うことが基本的な出生前検査、診断の概念である(日本産婦人科学会)』と書かれています。平たく言うと、生まれる前に赤ちゃんの病気について検査・診断すると言えるでしょうか。
では、生まれてくる赤ちゃんはどれくらいの頻度で先天的な(いわゆる生まれつきの)病気をもっていると思いますか?
赤ちゃんの3~5%は何らかの先天的な病気をもって生まれてきます。そしてその疾患や原因は様々です。
出生前診断と聞くとなんとなく染色体の病気を思い浮かべる方も多いようですが、染色体疾患は原因の約1/4くらいと言われています。
そしてそれらの検査にはいろいろな方法があります。
羊水検査、絨毛検査、それから超音波検査も重要な診断ツールのひとつですし、場合によってはMRIやCTといった検査を行うこともあります。
胎児の染色体の病気が母体の採血でわかる、と話題になった「新型出生前検査」は血液検査です。(正確には染色体の病気であるかないかということを高い精度で知ることができる確率の検査で、確定診断ではないということになります)
当院では以前より超音波による胎児スクリーニング検査を行っていますが、今年から遺伝カウンセリング外来を開始しました。相談したいこと、不安なこと、どうなんだろう?と思うこと、などありましたら産婦人科外来までお問い合わせください。
産婦人科 副部長 児玉美穂