2020.03.24
医療の知恵
乳がんについてー最近の動向ー
日本では乳がんが増加傾向にあり、2019年には9.2万人の癌罹患数予測(*1)が出ています。乳がんで亡くなる女性は1.5万人と予測(*1)されており、医療の進歩が著しい昨今においても、右肩上がりに増加の一途をたどっています。
また、乳がんが取り上げられる要因の一つに、比較的若い人が罹患することがあります。女性の30歳から64歳までは、乳がんが死亡原因のトップになっています。
欧米などでは、検診受診率の向上により早期発見が増え、治療の進歩もあって死亡率が年々減少しています。一方、日本では国が定期的な検診を推奨していますが、OECD(経済協力開発機構)加盟国30か国の70~80%に比べ、日本は44.9%と受診率は低く、年々死亡率は増加しています。
生涯に乳がんを患う日本人女性は、現在11人に1人(*1)といわれ、身近な病気といえるでしょう。だからこそ早期発見で適切な治療を行うことが大切になってきます。
月に1度のセルフチェック(生理の終わりぐらいにお風呂で体を洗うついでに泡をつけて触ってみるのがおすすめ)や、40歳以上の女性は2年に1度のマンモグラフィー検診が国の指針で勧められています。
また、乳がんを発症した人の5~10%程度に遺伝子変異があることが知られるようになって、遺伝子検査が保険適応になっていますが、2020年4月からは遺伝子変異があり、乳がんや卵巣がんになった人が新たな発症を防ぐために健康な状態の乳房や卵巣を予防的に切除する手術に保険が適応されることが決まりました。
乳がんに対する国の手当は少しずつ厚くなってきています。
女性にとっては案外身近な「乳がん」、ご自身でアンテナを張って、自分で自分を守っていく意識を持ちましょう。
(*1)国立がん研究センターがん情報サービス がん登録・統計より
放射線診断科 副部長 新宅香恵子