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2020.06.24

医療の知恵

子どもの事故(傷害)を予防しよう

子どもの死亡原因で常に上位となっている「不慮の事故」という病名をご存じでしょうか? この「事故:Accident」という言葉は“予測不能な事象によるもの”と定義されています。では本当に予測不能なのでしょうか?実際「不慮の事故」の内訳は交通事故・窒息・溺水・転倒・転落といった事象を指します。これらの事象は原因が明らかなものが多く、予測とその予防が可能ではないでしょうか。つまり「不慮の事故」も“予防可能な日常的な事象によるもの”と考えることができます。小児医療関係者は”予防可能“との観点から「事故」ではなく「傷害:Injury」という言葉を用い、子どもの日常で起こる事故(傷害)の予防の啓発および普及を行っています。今回はこの「予防可能な子どもの事故(傷害)」について述べたいと思います。

・溺水

浴槽での溺水が1歳前後の児に多くなっています。高さ70cm以下の浴槽では転落しやすく保護者が洗髪中や電話に出た時などにも報告されています。子どもを浴室に1人きりにしないことを心がけ、出た後はお風呂には外鍵をかけ、溜め水をしないようにしましょう。

・誤飲・窒息

子どもの誤飲の半分はタバコです。最近は加熱式タバコの誤飲も増えています。誤飲したボタン電池は消化管内で電流を生じ潰瘍を形成します。2つ以上の磁石の誤飲の場合、消化管内でくっつくことによりイレウス(腸閉塞)を起こします。また子どもの口に入る大きさである直径4cm未満の物は窒息のリスクを伴います。

・転倒・転落

子どもは頭部が相対的に重く、転倒で強打しやすい事を知っておく必要があります。転落は階段、ソファー、椅子、遊具などからが多く、階段には柵が有用です。ベランダや窓のそばには踏み台になる物は置かないようにしましょう。転落が命にかかわる事もあります。

このように受傷機転の特徴を知ることは適切な予防法につながります。予防可能な事故(傷害)から、子どもを守りましょう!

小児科副部長 大野 令央義

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