2021.11.04
医療の知恵
脳神経外科領域における3D画像診断
脳の検査と言えば、X線を用いたCTや磁気を用いたMRIなどの画像検査が中心です。これまで医師はCTやMRIの断層撮影の複数画像から立体的な構造を頭の中で再構築して手術や診断を行っていました。しかし、脳は神経や血管が複雑に入り組んでいるため、慣れた医師でも三次元的な立体構造を把握するのは難しいことでした。
そこで最近ではコンピュータ上で専用のアプリケーションを用いて、断層撮影のデータを三次元的に再構築して神経や血管、腫瘍などを立体的に表示することで理解しやすくなってきています。
また、同じCTやMRIでも撮影条件や造影剤の有無によって、「神経が分かりやすい」、「血管がよく写る」など画像の特徴が異なってきます。上記アプリケーションを用いることで、このような異なったCTやMRIの画像をすべて一つに統合してコンピュータ上に3D表示することも可能となります。
下記の動画はまずCTで撮影された頭蓋骨が表示され、次に拡大しながらMRIで撮影された脳幹近くの神経(黒い丸マーク)と赤く表示された血管を様々な角度から観察しているところです。当院ではこのアプリケーションは院内すべての電子カルテ端末で用いることができるため、診断のみでなく、手術室で立体構造を確認しながら安全に手術を進めたり、患者さんへの病状説明にも用いたりすることができます。
脳神経外科 副部長 碓井 智