2021.12.03
医療の知恵
40歳以上の20人に1人が緑内障
緑内障という病気をきいたことがありますか。視神経が障害され、見える範囲が狭くなる病気です。厚生労働省研究班の調査によると、日本における失明原因の1位となっています。また、40歳以上の日本人の緑内障有病率は5.0%、つまり20人に1人の割合とされています。
それにもかかわらず、ほとんどの場合、緑内障は進行するまで自覚症状がありません。これだけ有病率が高い病気であるのに、発症していることに気付かず、治療を受けていない人が約90%にのぼると推定されています。進行がゆっくりで、視野が少し欠けていても見える方の眼で補えるため、異常に気付きにくいのです。
しかし、自分では生活に支障をきたしていないと思っていても、実際には見えていないため大変危険です。例えば車の運転をしているとき、信号機や歩行者・車を認識できず、重大な事故を起こす可能性があります。
また、知らない間に緑内障が進行すると、視力が低下し、場合によっては失明します。恐ろしいことに、一度視野や視力を失うと、現在の医療では、障害された神経を回復させ取り戻すことはできません。
したがって、自覚症状がないときでも、人間ドックで眼底検査や眼圧検査を受けることが重要です。たしかに、緑内障は日本人の失明原因の1位になっている病気ですが、ほとんどの人は、あらかじめ適切な治療を受ければ、生涯、視力と視野を保つことができます。
40歳を過ぎたら、ぜひ眼科検診を受けるようにしてください。できるだけ早く疾患を見つけ、適切な治療を継続することが大切です。
眼科 好中麻世