日本赤十字社 広島赤十字・原爆病院

病院公式ブログ

2025.01.28

医療の知恵

オリゴ転移に対する放射線治療

みなさんは、オリゴ転移という言葉をご存じでしょうか?
オリゴの語源は古代ギリシャ語で「少ない」という意味で、オリゴ転移とは限局的で少数個(3~5個以内)のがんの転移のことです。

従来、がんの遠隔転移が生じた場合には、抗がん剤などの全身治療が行われ、根治的な局所治療(手術や放射線治療)は行われませんでした。
近年、転移があっても少数個にとどまっているオリゴ転移に対しては、局所治療を組み合わせることで生存期間や無治療期間の延長を期待できることが臨床試験などで盛んに報告されはじめました。各種がんに対する診療ガイドラインでもオリゴ転移に対する局所治療の記載が加わってきています。

当院でもオリゴ転移に対する放射線治療の相談を受け、治療を実施する件数が増えてきています。例えば、術後に再発したものの転移が少数個のままで長期間経過している症例や、もともとは多発転移があったものの、全身治療で大部分は消え、少数個だけ腫瘍が残っている症例などで、オリゴ転移にもいろいろなケースがあり、局所治療の適応になります。

局所治療として放射線治療を用いる場合には、定位照射(ピンポイント照射)では約1週間、分割照射では約1ヶ月~1ヶ月半の通院治療となります。もし気になる方は、現在かかっておられる主治医や放射線治療科にご相談をいただければと思います。

放射線治療科 高橋一平

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