2024.12.24
医療の知恵
皮膚から始まる食物アレルギー
アレルギーとは、体内に入ってきた異物を排除しようとする免疫反応が過剰に働き、有害なものでなくても症状が出てしまうことをいいます。またアレルギーを引き起こす原因物質をアレルゲンといい、アレルゲンが体内に侵入すると『感作』という現象が起き、アレルギー反応を生じます。
厚生労働省の推計によると、国民の約半数が何らかのアレルギーをもっています。これまでアレルギーは、食物等のアレルゲンを口から摂取することにより引き起こされ、アレルギーの予防には、『できるだけアレルゲンの摂取を避けること』というのが常識でした。特に食物アレルギーといえば子どもが気をつけるもの、と考えている人が多いかもしれません。しかし大人になり、ある日突然、食物や金属に対してアレルギーになってしまった人も多いのではないでしょうか。
2008年にイギリスの小児科医のラック先生は、皮膚でアレルギーの感作が起こるという、これまでの常識を覆す仮説を提唱しました。これを機に、皮膚でのアレルギー感作が注目されるようになりました。
特にアトピー性皮膚炎は、乳幼児期の湿疹等によって感作が起こり、その後の食物アレルギーや喘息になる可能性が示唆されております。つまり、アレルギーの発症予防には早期に皮膚の炎症を治療し、皮膚からアレルゲンを取り込まないようにすることが重要です。
皮膚科 副部長 佐々木諒