2024.08.29
医療の知恵
医療の知恵~術前から始める大事な準備-プレハビリテーションについて
みなさんは、プレハビリテーション(prehabilitation)という言葉をご存じでしょうか?
これは簡単にいうと「手術の前からはじめる心と体の準備」 ということです。
がんの告知を受けた患者さんの多くは、精神的に落ち込んだり、運動する機会が減り、食欲がなくなることにより手術前に栄養状態が悪化したり、体力が低下するという状況に陥ることがあります。このような状態は、術後の経過に悪影響を与えます。
こういった事態を避けるために、手術前からリハビリテーションを開始する重要性が注目され、医療の現場に導入されつつあります。
特にがんの手術をひかえた患者さんにとって、プレハビリテーションはとても重要です。具体的な恩恵としては
①身体機能(体力)の回復 ②合併症のリスク軽減 ③生存率の改善が術後に得られると考えられています。
当院の外科で担当する高度侵襲肝胆膵外科手術は、特に術後合併症が多いと知られています。このような高侵襲肝胆膵外科手術においても、術前の歩行機能(術前6分間歩行距離)、筋肉量に応じて術後合併症が軽減するという研究結果が報告されています。
では、術前にどのような運動をすれば良いのでしょうか?一例ですが、
①ウォーキングする習慣をつける(1日30分以上、週3日以上のウォーキングを行う②筋力をつける(具体的にはハーフスクワット、つま先立ち、ブリッジ、腹筋運動など)があげられます。
患者さんの手術後の経過が良くなるよう、手術前からプレハビリテーションの重要性を理解し、一緒に取り組んでいきましょう。
第一外科 副部長 橋本直隆