日本赤十字社 広島赤十字・原爆病院

病院公式ブログ

2024.07.09

医療の知恵

逆流性食道炎について

逆流性食道炎は、胃の内容物が食道に逆流することによって食道の粘膜に炎症が生じる病気です。食道と胃の境目には“下部食道括約筋”と呼ばれる筋肉があり、通常は胃の内容物が食道へ逆流することはありません。しかし、加齢や肥満などで下部食道括約筋が緩むと胃の内容物が逆流し、逆流性食道炎を引き起こします。一般的には胸やけ、呑酸(酸っぱいものが上がってくる)、食後の胸痛などの症状が現れ、狭心症や心不全などの病気の人よりもQOL(生活の質)が低下していると報告されています。治療は胃酸の分泌を抑える薬などを用いた薬物療法が主体となります。薬をやめると再発する可能性もあり、長期的な治療戦略が必要です。

このように厄介な病気ですが、当科でこれまでに100名以上の患者さんを治療してきた経験から、一定の割合で薬を休薬できたり、終了できたりする患者さんがいることが分かってきました。当科では治療中の症状コントロールを適宜把握し、必要最小限の用法・用量で治療することを提案しており、患者さんからの高い満足度と良好な治療成績を得ています。一方で、この病気は食べ過ぎ、早食い、過度なアルコール摂取などの生活習慣が原因となることも多いため、生活改善も重要なポイントになります。胸やけ症状などでお困りの方は、是非当科を受診していただければと思います。

                                             第一消化器内科部長 岡信 秀治

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