2024.03.22
医療の知恵
歯周病と健康について
近年、歯周病の予防・治療が健康の維持・増進のために非常に重要であることが判明してきており、多くの地方自治体で歯周疾患検診が導入されています。当センターでは2021年より人間ドックのオプション検査として歯周病唾液検査を導入しています。
〈歯周病と関連する全身疾患〉
歯周病と関連する疾患は多岐にわたっていますがそのメカニズムはまだ十分には解明されていません。(図1)
歯周病は各種疾患と双方向に影響を及ぼし合っていることが報告されています。たとえば、糖尿病の改善によって歯周病が軽減したり、逆に歯周病が糖尿病を進行させたり、血糖値を悪化させたという報告などがあります。
〈日本人間ドック学会報告データから〉
歯周病について昨年日本人間ドック学会での発表内容からご紹介します。
当センターの健診受診者で歯周病唾液検査を受けた172名の解析*1の結果、陽性率は男性57%、女性61%、全体では58%で、高齢者でより高率でした。空腹時血糖、HbA1c、体脂肪率、年齢、女性、高血圧、高脂血症、メタボリックシンドローム判定、γGTP、尿酸値において歯周病との関連性を認めました。また、同検査を複数回受けたことのある21名の解析では血圧、体脂肪率、腹囲の変化と歯周病の趨勢との間に関連性を認めました。歯周病と各種疾患の関連性について今後さらに検証を進めるとともに、歯周病予防の啓発、効果的な保健指導の実施、受診後のフォローアップなどに取り組んでいきたいと考えています。
生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防および良好な治療のために歯周病の検査を受けられてみてはいかがでしょうか。
健康管理センター 越智秀典
*1当センター受診者の歯周病唾液検査と健診データ、生活習慣などの関連性について
広島赤十字・原爆病院 健康管理センター 新見佳代他 第64回日本人間ドック学会学術集会(高崎) 2023年9月2日