日本赤十字社 広島赤十字・原爆病院

病院公式ブログ

2023.10.02

医療の知恵

歩くと足がしびれる〜腰部脊柱管狭窄症〜

腰から太もも〜下腿の痛み・しびれのため、長距離歩けないといった症状をおこす病気に腰部脊柱管狭窄症があります。背骨の中を走る神経は神経を栄養する血管とともに脊柱管という“くだ”の中を走っています。年とともに “くだ”が狭くなり、神経の圧迫が生じて下肢のしびれや痛みが生じたものが腰部脊柱管狭窄症です。50代以降で多くなり、80代では10人に1人の頻度に増えるといわれています。
症状は腰から下肢後面にかけてのしびれや痛みですが、買い物カートを押したり自転車に乗ったりするのは問題ないのに、歩くときに症状が出るのが特徴的です。
治療としては、神経を栄養する血管の血流改善を目的とした薬物療法が行われ、必要に応じて鎮痛薬なども使用します。
症状が高度になると神経圧迫を除去する手術が必要となることもあります。ただし、神経が弱りきってしまうほどの圧迫が長期に続いたあとでは、たとえ手術を行なっても、しびれなどの神経の機能障害はながく残ることが多くなります。脊柱管を広げる手術方法は、数センチの切開で行える、内視鏡や顕微鏡、拡大鏡などを用いた低侵襲手術が工夫されており、当院でも導入されています。
                                               第二整形外科部長 土井俊郎

図 腰部脊柱管狭窄症に対する内視鏡手術前後のMRI画像。術前の画像(左)にくらべ、術後(右)は脊柱管の“くだ”(白色部分)の拡大が確認できる。入院時は下肢痛のため10mしか歩行できなかったが、術後は腰を伸ばして500m歩行可能となった。

腰部脊柱管狭窄症に対する内視鏡手術前後のMRI画像
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