日本赤十字社 広島赤十字・原爆病院

病院公式ブログ

2023.09.01

医療の知恵

「肺癌診療ガイドライン」について 

私は呼吸器外科医として、肺癌の患者さんを多く診察しています。治療方針を決める際に、「先生にお任せします」と言っていただけることは、大変ありがたいことです。一方で、患者さんも自分の病状や治療法について深く知ることも重要です。そのための参考になるのが「肺癌診療ガイドライン」です。最近は新薬の開発が進み、新しい治療法が次々に登場しています。それに合わせて、ガイドラインも毎年改訂され、ウェブで公開されています(https://www.haigan.gr.jp/modules/guideline)。内容は少し専門的かもしれませんが、医師と一緒に使うことで、患者さん自身の治療選択をサポートするツールとなるでしょう。より良い医療を受けるために、ぜひ活用してみてください。ただし、ガイドラインに書かれた治療が必ずしもベストとは限りません。私たちは、患者さんの体力や家族のサポート、治療の希望(入院できるか外来通院か、副作用はどこまで許容できるか、仕事との兼ね合いはどうか、治療費はどうか・・等)なども考慮し、その人に最も合った治療法を提案しますので、時にガイドライン通りの治療でないこともあります。だからこそ、患者さんと私たち医療者とのコミュニケーションが大切です。共に話し合うことで、より良い結果が生まれると考えています。

呼吸器外科室長 米谷卓郎

図(肺癌診療ガイドライン2022より引用)
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