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2023.11.07

その他

大人の社会見学 「抗がん薬混合調製ロボット」

院内であまり知られていない場所を見学し、紹介するコーナー「大人の社会見学」です。今回は、広報委員である【地域医療連携課 長野 忠義】が、薬剤部の抗がん薬混合調製ロボット「ケモロ・ザ・スパイク」についてレポートします。

左:抗がん薬混合調製ロボット「ケモロ・ザ・スパイク」   右:坂本薬剤師から説明を受ける長野委員

このロボットは、本年2月に購入したもので、整備当時は全国で10番目、中四国では松江市立病院に続き、2番目に導入された機器でした。血液・腫瘍センターに設置し、1日あたり20~30人分をロボットで、薬剤師も合わせると60~70人分くらいの抗がん薬を調製しています。この機械は、抗がん剤や輸液、針・シリンジ等の必要なものをトレイにセットすると、ロボットが2本のアームでそれらをつかみ、混合調製を行います。  

▲2本のアームで自由自在に操る

機器にセットしてから1人分(1トレイ)を調製するのに10分くらいを要しますが、連続運転や予約運転に対応し、休憩時間中や夜間の調製が可能となり、また、曝露すると危険な抗がん薬を機械で調製するため、作業する薬剤師の安全にも役立っています。 

▲左から、長野委員と坂本・池亀薬剤師

手技による調製も見学しましたが、薬剤師が安全キャビネット内で防護服を着て1本ずつ作業する様子は、薬剤や針の危険性、手元への集中力などを考えると負担が大きく、また技術も必要な作業であると思いました。ロボットを導入しても人の手は必要であり、また100種類程度ある抗がん薬すべてを調製できるわけではないが、全体の3割~3割5分くらいを機械化することができたとのことでした。
「抗がん薬のロボット」と聞き、はじめはどのようなものかイメージがわきませんでしたが、取材を通じて抗がん薬調製に対する薬剤師の大変さやロボット導入によるメリットなどを学ぶことができました。

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